2014 年 31 巻 3 号 p. 197-201
古典的な原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)を日常診療で診ることは相対的に少なくなっており,むしろ無症候性で発見されることが増えている。さらには正カルシウム血症であることもしばしば認められる。これらの病態はPHPTの前駆あるいは初期像と考えられているが,結論は出ていない。正確な診断についてはPTH不適合分泌を見逃さないことや,ビタミンD不足を初めとする二次性副甲状腺機能亢進症の合併を除外することが大切である。治療に当たってはNIHガイドラインを参考にする施設が多いと思われるが,ガイドライン自体にも問題点が多い。ガイドライン上の手術適応に固執すると,適切な治療時期を逸することもあり,注意が必要である。