樹上において,エチレン阻害物質(樹体要因)が葉から果実へ供給されるという考えを支持するいくつかの報告がある。本研究において,カキ‘平核無’幼果の落果と内部または内生エチレン生成が結果枝上の葉の遮光または摘葉処理によって顕著に促進された。このことは,「樹体エチレン阻害要因」の存在を支持する。また,採取した‘平核無’幼果において,葉の粗抽出液(エタノール抽出後リン酸緩衝液に溶解)と異なる極性で分けられた3つの葉の抽出画分(ヘキサン,酢酸エチルと水画分)および4つの植物ホルモン(アブシジン酸,ジベレリンA3,インドール酢酸とゼアチン)の果肉への浸透処理は内生エチレン生成を抑制しなかった。このことから,期待された「樹体エチレン阻害要因」は葉の抽出液に含まれないと考えられた。カキにおいては,「樹体エチレン阻害要因」は葉中の物質ではなく,むしろ水供給のようなある種の物理的作用が「樹体エチレン阻害要因」として働くのかもしれない。