2017 年 43 巻 1 号 p. 23-28
ブドウの輸送時の衝撃に起因する脱粒を防止可能な包装方法を提案するために,日本のブドウ輸送において通常使用されている段ボール箱を用いた包装形態を対象として,落下方向の違いが衝撃による脱粒発生に及ぼす影響について調査した。落下試験の結果から,衝撃による脱粒を防止するためには,箱底方向からの衝撃に対する緩衝性能を高めておく必要があること,および箱内の隙間を極力減らすことが重要であることが示唆された。これらの結果に基づき,異なる大きさの貫通穴を開けたシート状の緩衝材を段ボール箱内に積層し,形成された穴内に果房を梱包することによる,個々の果房の形状に柔軟に対応可能な包装方法を提案した。落下試験の結果から,提案した包装方法がブドウの衝撃による脱粒に対する防止効果を有していることを実証した。また,この包装方法は,段ボール箱の底面および長側面からの衝撃に対して高い脱粒防止性能を有していた。