食用カンナ葉部は,一部の地域で使用されているにも関わらず,成分や機能性に関する報告がない。そこで,本研究では,乳酸発酵前後の食用カンナの葉の栄養学的特性とその80%メタノール抽出物(N-MEECLおよびF-MEECL)の機能性について解析を行った。その結果,食用カンナの葉にはタンパク質とポリフェノールが豊富に含まれることが明らかになった。非発酵カンナ葉80%メタノール抽出物(N-MEECL)に含まれるポリフェノールとしてルチン,クロロゲン酸,ケルセチン,ピセアタンノール,ネオクロロゲン酸の5種類を同定した。発酵カンナ葉80%メタノール抽出物(F-MEECL)にはピセアタンノール以外の4種類のポリフェノールのほとんどが消失し,抗酸化能も低下した。また,N-MEECLおよびF-MEECLには遊離アミノ酸が含まれており,発酵後,量はわずかに増加した。機能性の評価として,ラット好塩基球白血病細胞(Rat basophilic leukemia(RBL-2H3)cells)を用い,脱顆粒抑制を指標とする抗アレルギー効果の評価を行った。N-MEECLおよびF-MEECLでは抗アレルギー効果が確認され,食用カンナ葉を乳酸発酵させたF-MEECLの脱顆粒抑制作用はN-MEECLよりも強かった。N-MEECLに含まれている5種類のポリフェノールは,N-MEECLよりもRBL-2H3に対して強い脱顆粒抑制作用を示したが,発酵によりピセアタンノールを除く4種類のポリフェノールが消失したため,F-MEECL中のRBL-2H3に対する強い脱顆粒抑制作用を示す化合物には,N-MEECLに含まれているピセアタンノール,及び4種類のポリフェノール(ルチン,クロロゲン酸,ケルセチン,ネオクロロゲン酸)以外の物質の関与が考えられた。また,21種類のアミノ酸およびイミノ酸標品によるRBL-2H3に対する脱顆粒抑制作用を検討したが,脱顆粒抑制作用はN-MEECL中のポリフェノールに及ばなかった。これらの結果から,食用カンナの葉を乳酸発酵させると,RBL-2H3の脱顆粒抑制作用を増強する新たな化合物が生成されることが示唆された。