コールドチェーン研究
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ブロッコリーの側花蕾の品質保持に対する冷凍貯蔵の効果
山中 博之緒方 邦安
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1977 年 3 巻 3 号 p. 107-112

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抄録

本実験は,ブロッコリーの側花蕾の有効利用を目的として,冷凍貯蔵を行い,品質保持との関連から,側花蕾のパーオキシダーゼとブランチングとの関係を中心に検討した。
1. ブロッコリーのパーオキシダーゼ活性の最適pHは,花蕾では4.6,茎では4.1附近と部位によって異なった値を示した。
2. パーオキシダーゼを不活性化するためのブランチングの方法として,熱湯,蒸気,電子レンジによって行った。不活性化に対して電子レンジが最も効果的であり,ついで熱湯,蒸気の順であった。一方,生のまま凍結したブロッコリーのパーオキシダーゼは,花蕾で活性が徐々に低下したが,茎では5カ月後でも高い活性を保持した。
3. 熱によって不活性化した粗酵素のパーオキシダーゼは,熱処理後および解凍後20-35℃で放置した場合,明らかに活性を回復(regeneration)することが認められた。しかし,実際にブロッコリーをブランチングして冷凍貯蔵した場合,本実験の範囲では,冷凍貯蔵中における活性の回復はみられなかった。
4. ブランチング時におけるアスコルビン酸の損失は,熱湯による場合が蒸気,電子レンジの場合より大きかった。ただし,部位によって損失割合が異なり,茎では花蕾に比べその減少度が大きかった。
5. 冷凍ブロッコリーの貯蔵中の品質の総合的な評価は,生のまま凍結したブロッコリーでは緑色の減退,off-flavorの発生が認められたが,ブランチングしたものでは,10カ月後でも明らかに品質が良好に保持され,ブランチングの効果が顕著に認められた。
以上の結果から,ブロッコリーの冷凍貯蔵に当たって,酵素不活性のために十分なブランチングが行われた場合には,10カ月後でも高品質を維持し十分利用価値のあることを認めた。しかし,ブランチング後および解凍後,室温程度の温度下に置いた場合には,パーオキシダーゼ活性の回復が認められたことは注目すべきであり,これが品質に対してどのように影響するかについては今後さらに検討を要する。

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