日本食品低温保蔵学会誌
Online ISSN : 2186-1269
Print ISSN : 0914-7675
ISSN-L : 0914-7675
チルド貯蔵温度域におけるイチゴ及びキウイフルーツ果実の生理変化と貯蔵性について
王 洪剛弦間 洋大垣 智昭
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 14 巻 1 号 p. 8-14

詳細
抄録
イチゴ'ハニーベリー'及びキウイフルーツ'ヘイワード'の果実をチルド貯蔵して, 貯蔵期間中における生理変化, とくにIon Leakageの測定と同時に, 低温障害の発生を調査し, マイナス温度域における貯蔵性を検討した。
果実をポリエチレン (PE) 袋 (0.05×230×400mm) で密封包装し, 貯蔵実験は温度条件を5.0℃, -1.0℃及び-3.0℃に設定した。
イチゴ果実においては, PE袋包装と-1.0℃の組み合せによる貯蔵は, 果実の萎凋やカビ発生を抑制し, 果実硬度, 果汁成分の保持や追熟抑制には効果が認められ, 1カ月以上の貯蔵が可能であった。
キウイフルーツ果実の-1.0℃貯蔵では, 貯蔵40日間までは果実が全般的に良好であったが, これ以上になると, 果実の低温耐性が弱くなり, 果肉が暗褐色化し, 果心部がゴム質状になり, 商品価値を失った。さらに, 貯蔵期間中の生理的変化は, 最初に果実の呼吸量が急激に増加し, 次いでIon Leakageの増大が現われ, その後に低温障害の症状が出現することが認められた。
チルド貯蔵では, 低温障害を起こさない限り, 凍結点に近い温度での貯蔵効果が認められ, Ion Leakageの計測は低温障害発現の判断基準となり得ることが明らかとなった。
著者関連情報
© 日本食品保蔵科学会/学術著作権協会
前の記事 次の記事
feedback
Top