日本食品低温保蔵学会誌
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ハッサク果実の品質に及ぼす収獲熟度, ポリエチレン包装開孔率および貯蔵温度の影響
白 晋和阿部 一博黒岡 浩
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1990 年 16 巻 3 号 p. 97-104

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抄録
ハッサク果実の収穫熟度, 有孔ポリエチレン袋包装の開孔率および低温貯蔵よりの昇温処理がハッサク果実貯蔵中の品質に及ぼす影響を調べた。
(1) 果皮が帯緑黄色で収穫した果実は黄熟果実より腐敗及びコハン症の発生が少なかった。しかし, 苦味が貯蔵終了時でも強く, 甘味, 香り, および酸味が弱かったので, 食味の総合評価が劣った。
(2) 貯蔵150日後の食味検査では20℃貯蔵果実の評価が1℃と8℃貯蔵よりよかったが, 減量, 腐敗及びコハン症発生が多かったので, 長期貯蔵には不適であった。8℃では減量および腐敗が1℃と大差がなく, コハン症の発生も後期にわずか認められた程度で, 果皮の赤色がよく発達した。しかし, 食味評価は低かった。8℃から20℃に昇温しても強い苦味が残り, 香りおよび酸味が不足で, コハン症も急激に増加した。1℃では減量, 腐敗及びコハン症の発生が少なかったが, 食味評価が低かった。1℃貯蔵果実を2, 3ヵ月後に20℃に昇温したところ, コハン症の発生がほとんどなく, 食味検査でもかなりよい品質を示した。
(3) 有孔包装の100孔区では減量, 腐敗及びコハン症発生が16孔区より多く, この影響は貯蔵温度が高いほど大きかった。食味検査の結果も100孔区と16孔区の間で顕著な差がなく, 総合的にみると16孔区の方がよかった。
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