日本食品低温保蔵学会誌
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青果物の簡易CA貯蔵法に関する研究
シイタケの修整空気システムCA貯蔵
山下 市二伏見 力山本 忠志青木 章平
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1990 年 16 巻 3 号 p. 105-110

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抄録
CA貯蔵の低コスト化を図る目的で開発中の修整空気システムCA (MASCA) 貯蔵法により, 10℃でシイタケを9日間貯蔵し, 鮮度保持効果を外観および化学成分の面から評価した。同温度空気下貯蔵 (普通冷蔵) を対照とした。
1) MASCA貯蔵法で, 貯蔵庫内の酸素及び二酸化炭素を所定の濃度 (酸素0-1.5%, 二酸化炭素を9-11%) に制御することができた。
2) MASCA貯蔵中, シイタケの呼吸量は対照の1/2以下に低下した。
3) 外観からの鮮度判定によると, 普通冷蔵区では4日で褐変のため商品性がなくなったのに対し, MASCA貯蔵区では鮮度低下は認められず, 9日間MASCA貯蔵した後普通冷蔵に移したシイタケの鮮度低下速強は, 収穫直後のシイタケの鮮度低下速度と同等かむしろ遅かった。
4) MASCA貯蔵中にエタノールの蓄積がみられたが, エチレンおよびアセトアルデヒドは検出されなかった。
5) MASCA区においても普通冷蔵区においてもアラビトールとマンニトールが増加した。一方, トレハローズは普通冷蔵区で急激に減少した。MASCA区のトレハロース含量はほとんど変化せず, これを普通冷蔵に移すと急激に減少した。
6) 普通冷蔵区の総遊離アミノ酸含量は鮮度低下と共に増加した。MASCA区においても総遊離アミノ酸量が増加したが, その速度遅かった。総遊離アミノ酸の増加は主としてグルタミンの増加によるものであった。
7) リンゴ酸は普通冷蔵区においてもMASCA区においても増加した。
以上の結果から, シイタケの鮮度保持におけるMASCA貯蔵法の有効性を確認した。
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