抄録
ビワ果実'茂木'の貯蔵中のプロビタミンAおよびビタミンC含量の変化を調べた。プロビタミンAの分析は,果実を有孔ポリエチレン袋に入れ,18℃,5℃,1℃で貯蔵したものについて行った。ビワ果実のカロチノイドの中で,ビタミンAとしての活性をもっているものとしてβ-カロチンとクリプトキサンチンが認められた。貯蔵中の両者の含量はバラツキがあったが,最終的に貯蔵開始日の含量と比較して減少することはなかった。貯蔵中のビワ果実のプロビタミンA含量をビタミンA効力に換算したところ終始600~850IU/100gf.w.の高い栄養価を保持していた。
アスコルビン酸(ビタミンC)の測定は,ビワ果実をポリエチレン袋(30μm厚)及び有孔ポリエチレン袋に入れ,18℃と1℃で貯蔵したものについて行った。18℃で貯蔵したビワ果実の総アスコルビン酸含量に増加の傾向がみられ,一方,1℃貯蔵では有孔,密封両区とも徐々に減少した。還元型アスコルビン酸と酸化型アスコルビン酸の比率は,収穫直後では3:7であったが,還元型アスコルビン酸のほとんどは貯蔵中に酸化型アスコルビン酸に変化した。