抄録
鮮度保持の困難な香辛野菜の青ジソと花ミョウガを用いて最適貯蔵条件を調査した。
「青ジソ」
(1) ポリエチレン無孔包装内のガス濃度は20℃では炭酸ガスは常に高く, 酸素は低かった。1, 5, 10℃は貯蔵4日程度まで温度が高い程炭酸ガスが高く, 酸素が低い傾向にあったが, その後はほぼ同程度で, 顕著な変化はなかった。エチレン濃度は20℃で他の温度区に比較して多かった。
(2) 官能検査による品質は1℃では7日で有孔, 無孔区とも低温障害とみられる「くすみ」が認められ, 10日で顕著になった。20℃では貯蔵7日から10日にかけて無孔, 有孔区とも腐敗があり, 5℃と10℃では品質が比較的良く保持された。
(3) 貯蔵中のクロロフィルの含量は無孔 (1, 5, 10, 20℃), 有孔 (5, 10℃) のどの貯蔵区においても12日間明らかな変化がなかった。アスコルビン酸はどの貯蔵区においても有意な差はなく, 貯蔵日数の経過とともに減少した。
「花ミョウガ」
(4) 花ミョウガの無孔包装内の炭酸ガス濃度は貯蔵温度 (1, 10, 20℃) が高い程高く, 酸素濃度は逆の傾向であった。エチレンの濃度は0.1から0.2μl/lの範囲であった。
(5) 色差計による外観の観察はΔa, Δa/b, Δ√a2+b2は貯蔵条件にかかわらず一般的にマイナスの傾向があり, 色調が赤色から緑色に移行し, また, 彩度が低下していることを示唆した。
(6) 官能検査からこの花ミョウガの商品性保持期間は1℃で貯蔵6日, 10℃で4日, 20℃で2日程度であることが判断された。