日本食品低温保蔵学会誌
Online ISSN : 2186-1269
Print ISSN : 0914-7675
ISSN-L : 0914-7675
細菌利用エチレン除去剤によるスダチならびに数種つま物野菜の品質保持に関する研究
細菌利用エチレン除去剤による青果物の品質保持に関する研究 (第3報)
阿部 一博森田 昭彦山田 孝和寺田 正樹奥田 義二
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 19 巻 1 号 p. 3-7

詳細
抄録
エチレン吸収能力のある細菌を利用したエチレン除去剤を用い, スダチ果実と数種つま物野菜に対する品質保持効果を調べた。これらはポリエチレンフィルム袋に密封し, 25℃に保持した。
スダチのPE包装内への細菌利用エチレン除去剤封入ならびにエチレン処理 (初期濃度50ppm) が包装内の酸素と二酸化炭素濃度に及ぼす影響は小さかったが, 本剤は処理されたエチレンを貯蔵3日以降は完全に除去できた。本剤は貯蔵およびエチレン処理による黄化の進展を遅らせた。果汁pHと滴定酸含*の変化は小さく, エチレン処理や本剤の封入による影響もほとんどみられなかった。
エチレン処理された数種つま物野菜のPE包装内の二酸化炭素濃度に及ぼす本剤の影響は小さかったが, 処理されたエチレンは貯蔵2日以降に本剤によって除去された。本剤は花穂の退色と萎凋, パセリの黄化, 木ノ芽の小葉の離脱, 小切ナスのガクの離脱を抑制した。しかし, 大葉, 菊茶, アサツキ, 芽ジソ, 芽タデ, ミョウガの品質低下に対する本剤の封入効果は明らかにできなかった。
著者関連情報
© 日本食品保蔵科学会/学術著作権協会
次の記事
feedback
Top