抄録
各生育・成熟段階で収穫した小ウメ'甲州小梅'果実を3, 15および30℃で貯蔵し, 追熟中の成分変化と生理特性について検討した。
(1) 重量減少率は収穫時期が早く, 貯蔵温度が高いほど大きかった。
(2) 呼吸量は貯蔵温度が高くなるのに伴い増大し, 特に30℃区で典型的なクライマクテリック・ライズを示した。また, 15℃でもクライマクテリックがみられたが, 30℃区に比較して低く, 3℃区では明らかなクライマクテリック・ライズは認められなかった。
(3) エチレン生成量は貯蔵温度が高く, 収穫時期が遅くなるほど生成量が多くなる傾向がみられた。
(4) 収穫期の早い果実は30℃区で2~4日目にクロロフィルの分解に伴う黄化が起こったのに対し, 収穫期の遅い果実は収穫時に黄化が認められた。
(5) 硬度は呼吸の上昇に伴いあるいは呼吸のピーク後に顕著な低下が認められた。
(6) 有機酸含量はクエン酸が増加しその後減少したのに対し, リンゴ酸は収穫直後から減少し, 貯蔵温度が高いほどそれらの変動が大きかった。
(7) 遊離アミノ酸は収穫時期が早いもので著しい増加が認められたが, 遅いものでは各温度区分ともその変化は少なかった。
(8) 各糖とも収穫時期が早く, 貯蔵温度が高い区分ほど減少が著しく, グルコースとソルビトールが顕著であった。