日本食品低温保蔵学会誌
Online ISSN : 2186-1269
Print ISSN : 0914-7675
ISSN-L : 0914-7675
エチレン処理が未成熟トマト果実のエチレン生成系におよぼす影響
寺井 弘文土田 広信水野 雅史
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 22 巻 2 号 p. 67-72

詳細
抄録
トマト果実の生育および成熟過程のエチレン生成の調節機構を明らかにするため, 未成熟トマトや成熟後のトマト果実を用いて果実にエチレンを与えた時, エチレン生成系における各中間物質と関係酵素の活性がどのように変化するかを検討した。
トマト果実の生育過程および追熟中の果実内のエチレン濃度は, 生育段階では低く, Mature green (MG) 段階でほぼ閾値に達し, 追熟段階で急激に増加した。
各生育・成熟段階の果実に22時間, 100μl・l-1のエチレン処理したところ, MG以前の果実では炭酸ガス生成は促進されたが, エチレン生成には影響がなかった。また, ACC酸化酵素とACC-マロニルトランスフェラーゼに関して, MG以前の果実ではどちらの活性もエチレン処理によって促進されたが, その値は前者では追熟中のものとほぼ同値であったが後者は追熟中のものより顕著に高かった。
さらに長時間のエチレン処理と処理中断によるACC酸化酵素とACC-マロニルトランスフェラーゼへの影響をMGの果実で検討した。両酵素とも処理開始後1日で最大に達し, 処理継続中は高く, 処理が終わると1日で急激に低下した。エチレンの生成経路の鍵酵素であるACC合成酵素とエチレンの前駆物質であるACCについて, 同様MGの果実でエチレン処理の影響を検討した。処理中の2日間は果実からのエチレン生成は非常に低く, またACC合成酵素の活性も低かった。その後, 2日間おいたものではACC合成酵素活性の増加とACCの蓄積が認められた。
著者関連情報
© 日本食品保蔵科学会/学術著作権協会
次の記事
feedback
Top