抄録
4種のヤマイモを用い, 凍結乾燥, 真空乾燥および熱風乾燥の各処理を行った試料の粘度を測定するとともに, その組織の状態を走査型電子顕微鏡により観察し, 乾燥による粘度変化と組織との関連について検討した。
(1) ヤマイモを乾燥することにより, いずれも粘度の低下が認められたがその程度は熱風乾燥が最も著しく, 次いで真空乾燥であり, 凍結乾燥が最も少なかった。
(2) 生鮮試料の組織を走査型電子顕微鏡にて観察したところ, 細胞内にはデンプン粒とその周囲に付着する微細な粒子が数多く認められた。生鮮試料をパラフィン固定し, 各種染色を行ったところ, クマシーブリリアントブルーR-250により微細粒子は染色さ礼これがヤマイモ粘質物の主体である糖タンパク質と推定された。
(3) 乾燥するとデンプン粒の周囲に見られた粘質物は微細粒子の形では認められず, 壊れてデンプン粒に付着した状態となっていた。その状態は乾燥方法によりやや差が見られた。また, 熱風乾燥試料は細胞組織の損傷も大きかった。
(4) 乾燥による粘度の低下は, 粘質物と考えられる微細粒子の状態変化および細胞組織の損傷が一因であると思われた。したがってヤマイモを乾燥する場合は, 熱風乾燥に比べ, これらの変化の少ない凍結乾燥法が適していると考えられた。