日本食品低温保蔵学会誌
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ミツバの貯蔵に伴うH2O2生成・分解酵素活性の変化について
山内 直樹吉村 美紀木村 幸子生野 世方子
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1996 年 22 巻 4 号 p. 231-234

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抄録
ミツバ (Cryptotaenia japonica Hassk., 品種先覚) の黄化時での過酸化物の作用を明らかにするため, 貯蔵に伴う過酸化物含量および過酸化水素生成・分解に関与する酵素活性の変化について検討した。
ミツバを25℃貯蔵すると, 貯蔵3日頃から葉の黄化がみられたが2℃貯蔵では貯蔵期間中ほとんど黄化が認められなかった。過酸化水素を含む過酸化物含量は25℃貯蔵に伴い急減したが2℃では徐々に減少がみられ, 急減は生じなかった。過酸化水素生成に関与するグリコレートオキシダーゼとスーパーオキシドジスムターゼ活性の25℃貯蔵に伴う変化をみたところ, グリコレートオキシダーゼは貯蔵後急増し, 黄化に伴い減少した。一方, スーパーオキシドジスムターゼは貯蔵に伴い減少した。過酸化水素分解に関与するペルオキシダーゼとカタラーゼ活性について調べたところ, 両酵素とも25℃貯蔵に伴い減少が認められたが減少程度はカタラーゼでより顕著であった。過酸化水素生成に関与するウリカーゼ, アミノ酸オキシダーゼおよびキサンチンオキシダーゼは, 本研究の測定方法では検出されなかった。
以上の結果より, 25℃貯蔵ではグリコレートオキシダーゼの活性増大にもかかわらず, 過酸化物含量の減少がみられたことから, 過酸化物は酸化過程を通して, 貯蔵ミツバの葉の黄化進行に関与しているものと推察した。
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