抄録
流通過程で鮮度低下のみられる夏季収穫ホウレンソウの輸送中の品温変化を測定するとともに, フィルム包装と出荷ケースの改善による鮮度保持効果を検討した。
1. 呼吸量は保存温度が高いほど多く, 収穫7日後では収穫直後の60~70%に減少した。
2. フィルム包装の検討では現行の開放状態から小窓および密封形態にすることで, 高鮮度保持期間が延長できた。しかし密封形態では蒸れを起こす可能性があるので上部シールの小窓形態が実用的なシール法であると考えられる。
3. 出荷ケースの比較ではダンボール箱はプラスチック製組立通いケースに比べて品温の変化が遅く, 温度の変動幅が3~4℃少なかった。ホウレンソウの品質は組立通いケースに比べてダンボール箱の方が優れていた。
4. 補助包材の比較では発泡スチロールシート区は最も品温の変化が遅く, 温度の変動幅が小さかった。逆に現行の新聞紙1枚区は温度の変動が早く, その変動幅も大きかった。新聞紙2枚区は前2区の中間的な温度変化を示した。ホウレンソウの品質は新聞紙1枚処理に比べて, 発泡スチロールシートおよび新聞紙2枚処理のものが優れていた。
5. 現行の組立通いケースを用いる場合, 補助包材として新聞紙を2枚用いるか, 出荷ケースに断熱シートをかけることにより, 鮮度低下を抑制できる。