抄録
オゾンの殺菌作用については古くから知られ, 食品においても広く利用されるようになってきた。本試験ではオゾン水の微生物に対する殺菌作用を調べ, 実際の野菜 (キャベツ, ホウレンソウ) の鮮度保持について試験を行った。オゾン水の殺菌効果については, 微生物の種類により大きく異なったため, 加熱殺菌理論を応用し, 加熱時間, 加熱温度をそれぞれオゾン水との接触時間, オゾン水濃度に置き換え, D値およびZ値を求めて比較したところ, Bacillus属はD値が高く, 高濃度で長時間の処理が必要であることが明らかになった。また, オゾン水処理したキャベツは表面細胞が損傷することが認められたため, その細胞を顕微鏡で観察した。その結果2ppm40分処理したものは未処理に比べ細胞の損傷が大きかった。このことより, キャベツの処理水に溶出する還元糖量およびペクチン量を測定したところ, オゾン水濃度が高くなるにつれ, また, 処理時間が長くなるにつ礼容出量が増加した。さらに処理後の細胞壁成分を分画してその収量を比較したところ, ホウレンソウに比べキャベツの処理区はペクチン画分などで減少が認められた。
以上のことより, オゾン水処理は鮮度保持に有効であったが野菜の種類によりその耐性が異なることが認められた。