日本食品保蔵科学会誌
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収穫後キトサン処理が “ジョナゴールド” リンゴ果実の鮮度保持と果皮構造に及ぼす影響
杜 建明弦間 洋岩堀 修一
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1998 年 24 巻 1 号 p. 23-29

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抄録
“ジョナゴールド” リンゴ (Malus pumila Mill.var. domestica Schneid) 果実にキトサンを果実表面に被膜処理して, 鮮度保持に及ぼす効果を検討した。果実は5℃, RH85~90%で4ヶ月間貯蔵し, 貯蔵中の果実の硬度, 呼吸活性とエチレン生成量の変化などを調べた。その結果キトサン処理により, 果実の顕著な呼吸活性とエチレン生成の抑制がみられ, 果実の硬度が保持された。キトサン処理では果実内部のCO2が増加し, O2が低下したがオブ・プレーバーは認められなかった。
また, 走査型電子顕微鏡 (SEM) の観察により, 処理果実ではキトサン被膜が約3μmの厚さで全面が覆われ, 細胞間に亀裂はほとんど認められなかった。これに対して, 無処理果実では細胞間に顕著に亀裂が観察された。果実にリンゴ灰色かび病菌, Botryis cinereaの分生胞子を接種した3週間後, 無処理果実の表面では, 多数の生長した菌糸が観察されたがキトサン処理果実の表面では, わずかに発芽した分生胞子がみられたのみでほとんどは変形していた。本研究の結果から, キトサン処理は, “ジョナゴールド” リンゴ果実の貯蔵およびB. cinereaの分生胞子の発芽と生長の抑制に有効であると認められた。
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