日本食品保蔵科学会誌
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貯蔵ホウレンソウのクロロフィル分解に及ぼすアスコルビン酸およびβ-カロテンの影響について
山内 直樹Alley E. WATADA
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1998 年 24 巻 1 号 p. 17-21

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抄録
貯蔵したホウレンソウ (Spinacia oleracea L.) のペルオキシダーゼによるクロロフィル (Chl) 分解に及ぼす還元型アスコルビン酸 (AsA) およびβ-カロテンの影響について検討した。ホウレンソウの貯蔵は25℃下, 加湿した10ppmエチレンおよび空気を通気することによって行い, 貯蔵中のChl, AsAおよびβ-カロテン含量を測定した。また標品のペルオキシダーゼを使用し, ペルオキシダーゼー過酸化水素系によるChl分解に及ぼすAsAとβ-カロテンの影響についても調べた。
AsAとβ-カロテンがペルオキシダーゼー過酸化水素反応系に添加されるとCh1分解は抑制され, これら抗酸化剤はペルオキシダーゼー過酸化水素系によるChl分解を効果的に抑制することが示された。ホウレンソウの貯蔵に伴うAsA含量はChl含量の低下に伴い減少し, その減少程度はβ-カロテン含量の減少に比べ顕著であった。エチレン処理はAsAおよびChlの減少を促進し, AsAの減少はChlの低下に先行して生じた。
以上の結果から, AsAおよびβ-カロテンはChl分解に関与するペルオキシダーゼー過酸化水素系に対して抑制作用を持ち, ホウレンソウの貯蔵に伴うChl分解については, 特にAsAの一定レベル以下の減少が分懈要因になっているものと推察した
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