日本食品保蔵科学会誌
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日本および韓国産リンゴ'ふじ'の果実品質およびその変異の比較
植松 齊池田 勇治新部 昭夫久保井 榮三浦 泰昌Mikio SATO車 垠〓愼 英範
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1998 年 24 巻 4 号 p. 249-254

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抄録

1992年から, 94年にかけて韓国から50~60トンのリンゴが輸入されたが, このことは今後の両国間におけるリンゴ貿易拡大の可能性を示すものである。日本と韓国では果実の甘さや適度な硬度, 日持ち性などに優れた'ふじ'が主要品種として栽培されていることから, 日本と韓国産リンゴ'ふじ'の果実品質を比較することによって, 自然環境と品種特性との関係がより明らかになるとともに, 両国のリンゴ貿易の今後を予測する上で極めて重要な示唆が得られるものと考えられる。そこで韓国の醴泉および大邱からほぼ中庸な果実を詰めたダンボール箱を各々6箱選び, 国内では青森, 秋田, 山形, 福島および長野 (長野市および松川町) の地域から各々2箱を選び, 果実重, 果形, 果実硬度, ブリックス, 滴定酸および搾汁率を調査した。さらに各地域における果実の生長期間中の気温および降水量を測定し, 果実品質と気象条件の関係を調査した。
韓国の醴泉および大邱の7月の平均気温および最高気温は日本のいずれの地域より高かった。そして青森の6月から10月までの最低気温は両国のいずれの地域より低かった。5月から9月までの松川町の降水量は両国の全地域の中で最も多かった。しかし他の地域の降水量はほぼ同程度であった。
果実品質では, 福島県産の果重が最も大きく, 他の地域はほぼ同程度の重量であった。日本産果実の横径および縦経の最大値と最小値の差は韓国産果実より小さく, したがって韓国産果実より整形であった。しかし, D/L指数, 果肉硬度, ブリックス, 滴定酸および搾汁率では両国間に差が認められなかった。
日本産果実の果重, 横径, 縦径およびD/L指数の変動係数は韓国産果実より顕著に小さかった。しかし, 果肉硬度, ブリックス, 滴定酸および搾汁率の変動係数には日本および韓国に顕著な差は見られなかった。

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