抄録
低温 (8℃) 貯蔵中の密封包装内の二酸化炭素濃度は1.5-2.2%, 酸素濃度は16-15%で推移し, 密封区の果実内の二酸化炭素濃度は, 有孔および無包装区よりも高いレベルで推移した。低温によりマンゴー果実の二酸化炭素排出は抑制された。
低温 (8℃) 貯蔵中の果皮色は包装の有無にかかわらず果皮色が緑色を保持し, 果皮の緑色残存は低温の影響を受けた。低温 (8℃) 貯蔵後, 包装解除後20℃に昇温後, すべての果実の果皮色が黄色を示し, 外観的に適熟に達した。ハンターa値も低温 (8℃) 貯蔵中にはほとんど変化しなかったが包装解除昇温後に増加した。
低温 (8℃) 貯蔵中のアセトアルデヒド含量は無包装および有孔区において増加し, 密封区では変化がみられなかったが包装解除昇温後, 密封区の果実に最も多かった。一方, 果肉中のエチルアルコール含量は低温 (8℃) 貯蔵の密封包装区において最も多かったが包装解除昇温後, その含量は減少を示した。包装解除昇温後の果皮色が同等のPCI-6であっても, 果実内の追熟程度が低温 (8℃) で密封することにより異なった。
低温 (8℃) 貯蔵中にすべての区でスクロースおよびフルクトースが増加し, グルコースは減少を示した。包装解除昇温後4日 (実験開始時から貯蔵11日) にすべての果実が適熟を示すPCI-6になったときの全糖含量は無包装区において最も多く, 密封包装区に最も少なかった。低温貯蔵中の包装は昇温後のスクロース含量の増加の抑制に影響を及ぼした。
低温 (8℃) 貯蔵7日で有孔および密封区のクエン酸含量が無包装区と比べてより急激に減少した。包装解除昇温後のクエン酸含量は密封区に最も多く残存し, 密封包装は包装解除昇温後も有機酸含量の減少の抑制に影響を及ぼした。
包装の有無にかかわらず, 低温 (8℃) に置く間は果皮色は進行せず, 低温障害なしに包装解除昇温後は外観的に成熟した。果皮色がPCI-4の'Carabao'マンゴー果実に8℃下で有孔包装が適用でき, 低温 (8℃) 貯蔵後の包装解除昇温後の果実の品質保持に有効に作用したと考えられた。