抄録
バンレイシ果実の貯蔵温度を16℃, 21℃および26℃に設定し, それに相対湿度を85-90%の範囲で貯蔵を行った。その適切な貯蔵および追熟条件を探るためであった。その結果いずれの貯蔵温度においても貯蔵期間が長くなるにつれ果実重が減少し, 果汁のPHは一時的に減少し, その後増加する傾向であった。貯蔵した果実は貯蔵温度にかかわらず, 果汁中のリンゴ酸およびクエン酸含有量が一時的に上昇し, その後減少するパターンを示した。追熟した果実は追熟温度にかかわらず, 追熟後に果実のアスコルビン酸含有量は減少する傾向を示した。しかし, 16℃において貯蔵した果実は12日間貯蔵してもTSSは10.5°Brixしか上昇しなかった。果汁中のブドウ糖, 果糖, ショ糖などが増加し, それとは逆にデンプン含有量が減少することから貯蔵温度が高いほど果肉のデンプンの糖化が早いことが推察された。