貯蔵温度の違い (0℃, 10℃) における男爵薯の物理的・生化学的変化, すなわち, 塊茎の重量変化, 硬さ, 比重, 色調, 糖, デンプン含量, リン脂質の脂肪酸組成, デンプン粒のサイズ, 粘度特性および発芽率と呼吸率の変化について検討した。その結果糖類の蓄積は0℃貯蔵でみられたが10℃貯蔵においてはほとんどみられなかった。しかし, 10℃貯蔵では, 早い時期からの発芽と塊茎重量の減少および軟化が顕著に認められた。また, 0℃貯蔵に比べ10℃貯蔵では, 最終呼吸率が高くなっていた。組織の色調については貯蔵温度の影響は受けなかった。リン脂質の二重結合インデックスは0℃, 30日貯蔵で増加し, 男爵薯の低温ストレス耐性が増加した。デンプン含量は0℃貯蔵の方が10℃貯蔵に比べ減少が大きく粒子のサイズも小さくなっていたが粘度特性に大きな違いはみられなかった。