日本食品保蔵科学会誌
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ツルムラサキの鮮度保持に及ぼす貯蔵温度の影響
エンリケスファビオ ギメナ川田 和秀松井 年行
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2000 年 26 巻 4 号 p. 211-217

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抄録
ツルムラサキ (Basella alba L.) の鮮度保持, アスコルビン酸含量, 呼吸速度, イオン漏出や形態学的変化に及ぼす貯蔵温度の影響について検討した。貯蔵温度25℃での品質の低下は葉の黄化が主な原因で, 貯蔵46日後に約50~60%のアスコルビン酸含量の減少が認められた。0℃と5℃では貯蔵12~14日後でも葉は緑色のままでアスコルビン酸の約26~36%を消失した。低温は黄化, アスコルビン酸の損失や呼吸速度を減らすのに効果的だった。しかしながら, 25℃に2日間移動すると炭酸ガス生成は急速に増大し, 10℃あるいは15℃よりも0℃と5℃で貯蔵した葉は有意に多くの増加が認められた。この呼吸の増大は, 0℃と5℃でのイオン漏出速度の増加と関係していた。低温障害は0℃と5℃貯蔵で認めら礼その傷害は葉のピッティングや萎凋 (膨圧ロス) であった。気孔は葉の表皮における唯一の開口部でその頻度は向軸表面より背軸表面のほうがより多かった。気孔近辺の組織の割れや気孔外部の浸出物は, 0℃と5℃で貯蔵1214日後に観察された。
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