昨今, 食品に含まれる食物繊維が人の健康維持に深く関与していることが明らかにさ礼食物繊維に対する社会的関心が高まっている。一方, 生おからには, 豆乳としてしぼりきらなかったタンパク質をはじめ, 脂質, 繊維質が多量に含まれており, 中でも繊維質に関しては, 水溶性食物繊維としてペクチン, 水不溶性食物繊維としてセルロース, ヘミセルロース, リグニンが全体で約50%以上含まれている。
大豆種子中には, 約40%のタンパク質が含まれ, 脱脂大豆を水または食塩水で抽出すると, 約90%が抽出される。しかし, おから中に約35~40%のタンパク質が残存し, これらを除去するために酵素処理やpH処理を施しても, 効果を得にくい。この要因として, 大豆中に含まれる不溶性グロブリンの存在, おから調製時の加温による不溶化, 繊維質に物理的に抱き込まれて溶出しずらい形態を持つタンパク質の存在が考えられる。本報告では, 高純度の食物繊維を得るために, おから中に混在する不溶性タンパク質の除去を主目的とし, 酵素的あるいは化学的処理による “おから食物繊維” の純化, およびそれに伴うおから粒子形状の経時的変化を走査型電子顕微鏡 (SEM) により観察し, 形態の変化とタンパク質残存量および食物繊維含有量の関連を検討した。
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