抄録
葉柄付きブロッコリー (Brassica oleraceas L.) 花蕾を貯蔵し, 内容成分と鮮度の変化について調べ, 葉柄の有無による品質への影響について検討した。初夏取りプロッコリーは品種'緑笛'を, 秋取りは品種'緑炎'を使用した。花蕾の頂部で葉部を切断し, 花茎を対照より約1cm程度長く切断したものを葉柄付きとし, 対照とともに3℃に貯蔵した。花蕾の黄化の進行については, 初夏取りが秋取りに比べ早くみられたが, 葉柄付きによる抑制効果はほとんどみられなかった。葉柄付きおよび対照のクロロフィルa含量は, 外観の変化と同様初夏取りでは徐々に減少がみられたが, 秋取りではほとんど変化がみられなかった。アスコルビン酸含量は両収穫糊で, 葉柄付きならびに対照で徐々に減少が認められた。クロロフィルとアスコルビン酸の保持においては, 葉柄付きの効果はほとんどみられなかった。糖含量についてみたところ, 特にスクロースにおいて初夏取りおよび秋取りとも, 対照では顕著な低下がみられたが, 葉柄付きでは低下の抑制が認められた。フルクトースでは, 初夏取りで貯蔵に伴う減少がみら礼葉柄付きではその抑制がみられた。グルコースでは貯蔵に伴い著しい減少はみられなかった。
以上の結果から, ブロッコリー花蕾の葉柄付き貯蔵は糖含量, 特にスクロースの減少を抑制することがわかった。また, 葉柄付きでは葉部切断面の褐変抑制と出荷時に花茎を切断することにより花茎部の褐変抑制が可能となり, 生産地での出荷前の短期間貯蔵での品質保持技術として利用できるものと思われた。