日本食品保蔵科学会誌
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小麦粉生地形成に及ぼす小麦粉内在トランスグルタミナーゼの影響
野口 智弘長岡 卓首藤 里津子高野 克己
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2004 年 30 巻 1 号 p. 3-7

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抄録
小麦粉中よりTGase活性の検索を行ったところ, タンパク質量の高い小麦粉ほど高いTGase活性が検出され, 従来タンパク質量と加工特性との間に相関があるとされてきたが, 新たにTGase活性と加工特性との間に関連がみられた。また, グリアジンおよびグルテニンへの作用性を検討したところ, ジスルフィド結合によらない高分子化がみられ, TGaseによるイソペプチド結合の形成が確認された。
小麦粉生地物性に与える小麦粉由来TGaseの影響を解析したところ, TGase添加によって, 破断強度および破断距離は増加し, TGaseが生地物性に影響を及ぼすことが確認された。また, 製パンへの作用について検討を行ったところ, いずれの小麦粉においてもTGaseの作用によって, 発酵体積および焼成体積ならびに硬さは増加したが, 内相のキメは粗くなり製パン性改善効果に問題が残った。そこで, グリアジンおよびグルテニンを添加し, TGaseと併用したところ, 焼成体積および硬さは増加し, 内相のキメも細かくなり, 製パン性の改善効果がみられ, SHやASWを用いてもDNS同等のパンを製造可能であることが明らかになった。
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