大腸菌群5種への加圧-冷凍処理に対する食塩濃度, ショ糖濃度およびpHの影響について検討した。また実際の冷凍食品として市販されている調味数の子に各菌株を付着させて加圧-冷凍処理の殺菌効果を検討した。
はじめに食塩濃度の影響について検討したところ,
Escherichia coliおよび
Citrobacter freundiiでは食塩0%試験区に対して食塩1, 5および10%試験区の残存菌数がこれを下回る傾向を示した。また
Enterobacter cloaoaeおよび
Klebsiella pneumoniaeでは食塩濃度が10%以上で殺菌効果が高められた。しかし,
Enterobacter aerogenesでは, 食塩の効果はみられなかった。
次にショ糖濃度の影響を検討したところ,
Escherichiacoliおよび
Citrobacter freundiiでは食塩の場合と反対に殺菌効果が弱められる傾向を示したが, 他の3菌株では殺菌に及ぼすショ糖の影響はほとんどみられなかった。
また, pHの影響をみると, いずれの菌株においてもpH4.3で著しい殺菌効果が認められた。このpHにおいて
Citrobacter freundiiでは加圧処理のみにより, またその他4菌株では加圧-冷凍処理により完全に死滅していた。
以上のように同じ大腸菌群の菌株であっても食塩, ショ糖およびpHの加圧-冷凍処理への影響は異なることがわかった。
一方, 大腸菌群各株の微生物懸濁液 (5種類) を調味数の子に付着させて, 加圧-冷凍処理を行ったところ, 残存菌数は冷凍処理のみの場合と比較して約1/10程に減少しており, 加圧処理を冷凍前に行うことで殺菌効果が高められることがわかった。また数の子の外観や色調は加圧処理前後で変化がなかった。
抄録全体を表示