日本食品保蔵科学会誌
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中国ハム (金華火腿) 脂質の不飽和化に関与する糸状菌の同定と性質
森 哲也金内 誠進藤 斉角田 潔和吉澤 淑小泉 武夫
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2004 年 30 巻 1 号 p. 9-15

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抄録

金華火腿から分離された微生物309株より, 火腿脂質の不飽和化に関与する菌株のスクリーニングを行い, 糸状菌6株を選抜した。この中でA-59は脂質中の不飽和脂肪酸の割合が82.0%と選抜菌株の中で最も高く, 特にオレ・イン酸, リノレン酸含有率が高かった。A-59は各種形態試験の結果, Aspergillas oryzaeと同定された。本菌株は, 培養温度25℃, 初発pH6.0, 0.5%コール酸ナトリウム, パルミチン酸とステアリン酸を炭素源として, その比率が60 : 40で最も高い不飽和脂肪酸量を示した。また, 本株はパルミチン酸, ステアリン酸を菌体内に取り込み, オレイン酸やリノール酸, リノレン酸を生産していると推察した。以上より, 火腿脂質の不飽和化はA. oryzae A-59を中心とする6株が作用していることが明らかとなった。

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