日本食品保蔵科学会誌
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電解水を原水として養液栽培したミツバの収穫量と品質特性
阿部 一博阿知波 信夫伊藤 元裕島 昭二草刈 眞一
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2004 年 30 巻 6 号 p. 281-288

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抄録

希薄な食塩水を電気分解したときに陰極側から得られる強アルカリ性電解水にはNaが多量に含まれており, 養液栽培の培養液の原水に使用した場合には, 品質に関与する化学成分の含量が蓄積される可能性が考えられたので, 10倍と3倍の希釈液あるいは強アルカリ性電解水そのままを養液栽培の原水として使用し, 収穫量と化学成分含量に及ぼす影響について調査した。
養液栽培の培養液の原水として10倍希釈液を使用した場合には, 対照区より収穫量 (葉身重, 葉柄重, 根部重) と乾物重が多くなり, 化学成分含量 (無機成分, クロロフィル, フェノール物質, 遊離アミノ酸) もほぼ同じであったことから, 強アルカリ性電解水を10倍に希釈して培養液に使用した場合には, 生育促進や収穫量の増加に効果があることが明らかとなった。
しかし, 希釈濃度が3倍あるいは強アルカリ性電解水そのものを培養液に原水にした場合には, 生育が阻害されて収穫量が減少し, クロロフィル含量と遊離アミノ酸も減少した。また, 希釈濃度が3倍以上の場合には, PとKの含量が減少したが, CaとMgの含量が多くなった。

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