日本食品保蔵科学会誌
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バナナ追熟中における果皮のフェノール化合物とポリフェノールオキシダーゼ活性の変化
ロンポパック テラヌードシリパニ ジンタ上田 悦範阿部 一博茶珎 和雄
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2005 年 31 巻 3 号 p. 111-115

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抄録

バナナ追熟中に, その果皮の表層部, 中層部, 内層部および果肉の各部位におけるフェノール化合物を分析した。すべての部位から主成分としてドーパミンが検出され, 次いでL-DOPA, チラミン, チロシンの順であった。これらの物質は主にバナナ果皮の表層部に多量に含まれ, 中層部, 内層部, 果肉の順で少なかった。ドーパミンは追熟後期に特に表層部で減少したが, その部分は貯蔵末期に褐変斑点が出る部位にあたった。L-DOPA, チラミン, チロシンは逆に追熟中増加した。
ポリフェノールオキシダーゼ (PPO) 活性は果実のどの部位にも存在したが, 特に果皮の外層部で追熟中増加した。短期間 (24時間) 窒素ガス処理したバナナは貯蔵後期に現れる褐変斑点を抑制し, ドーパミンの減少を遅らせるが, PPO活性は無処理のものと同程度に増大した。上記の結果は斑点の褐変化において, ドーパミンがPPOの基質として使われたことを示している。

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