抄録
本研究では, 低温性ペクチン資化性酵母Cystofilobasidium capitatum由来アルドラーゼの一次構造とその発現制御について解析を行った。C. capitatumのアルドラーゼをコードする遺伝子FBAlは360アミノ酸残基をコードしうるORFからなり, その遺伝子産物CcFba1Pはアルドラーゼに特有の保存配列を保持しており, 推定分子量は39,626Daであった。一方, FBAlはグルコースにより若干の高発現がみられるものの, 炭素源や温度, 酸素濃度にはほとんど影響されなかった。さらに, FBAlは定常期において発現の低下がみられるものの, 誘導期および対数増殖期においては安定した発現が観察された。これらの結果から, FBAlはC. capitatumにおいて構成的に発現されるハウスキーピング遺伝子の一つであり, 本遺伝子が食品中におけるこれら低温性酵母の検出の指標に用いることができる可能性を示した。