Journal of Applied Glycoscience
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アミロペクチン単位鎖長分布による水稲糯品種の餅硬化性評価
五十嵐 俊成木下 雅文神田 英毅中森 朋子楠目 俊三
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2008 年 55 巻 1 号 p. 13-19

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抄録
糯米育種を効率的に実施するために,アミロペクチン単位鎖長分布による餅硬化性の評価手法を検討した.アミロペクチン単位鎖長分布は,硬化性の異なる品種・系統を用い,蛍光標識ゲルろ過HPLC法により分析し,硬化性とアミロペクチン単位鎖長分布との関係を明らかにした.糯米澱粉のアミロペクチンには品種間差が認められ,主食用の柔らかい餅生地を有する品種(はくちょうもち等)はアミロペクチンの短鎖の割合が多く,加工用の硬化性の高い品種(こがねもち等)は長鎖が多い構造であった.アミロペクチン単位鎖のモル比(A+B1)/(B2+B3)と硬化性には負の相関関係が認められた.アミロペクチン単位鎖のモル比(A+B1)/(B2+B3)の標準偏差は重量比に比べて小さく,品種間差が明瞭であった.これらのことから,アミロペクチン単位鎖のモル比(A+B1)/(B2+B3),すなわちクラスターを構成する鎖の数は糯米の育種における有効な評価指標になると考えられる.糯米の用途を判別する指標として,主食用はアミロペクチン単位鎖のモル比(A+B1)/(B2+B3)が11.5以上,加工用は11以下が適していると考えられた.
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© 2008 by The Japanese Society of Applied Glycoscience
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