Journal of Applied Glycoscience
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多糖ゲルの構造原理
田幸 正邦
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2000 年 47 巻 1 号 p. 49-53

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抄録

 著者はこれまでκ-カラギーナン,c-カラギーナン,アガロース(寒天),ジェランガム,カードラン,アミロース,およびアルギン酸のゲル化機構を分子レベルで提出した.また,キサンタンガムとガラクトマンナン(ローカストービーンガム,タラビーンガムおよびグアーガム),キサンタンガムとコンニャクグルコマンナン,それにκ一カラギーナンとガラクトマンナン(ローカストビーンガム)の混合液のゲル化機構につて分子レベルで提出した.さらに,米澱粉の糊化および老化機構についても分子レベルで提出した.これらの多糖類は,分子鎖内および間結合(水素結合,イオン結合,静電気結合,またはファンデアーワールズ力等)を形成してゲル化すると考えている.上述の多糖類は0.1-1.0%(w/v)の低い濃度で水溶液を室温で劇的にゲルに変える.このような現象はいままで分子レベルで原理として理解されてない.水(H2 0)分子は0℃で二つの水素と二つのローンペアーにより四つの水素結合を形成して正四面体を採り氷の結晶を刑成するが,多糖ゲルの水分子は室温でこのような正四面体を採っている.たとえば,0.1%(w/v)のアガロース分子鎖は分子鎖内および間水素結合を形成し,室温でも99.9%の水分子に正四面体の水素結合を形成させ,ゲルに変える.多糖類の分子鎖は水溶液で単鎖ラセン,二重ラセン,または多重ラセンを採って水分子に氷のような正四面体の水素結合を形成させるゲルの核としての役割を果たしている.多糖ゲルの形成にカゴ効果や疎水効果等が大きな役割を果たしている.

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© 日本応用糖質科学会
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