2020 年 12 巻 2 号 p. 65-80
多国籍企業のグローバル戦略に対する組織のフィットに関する研究は豊富にある一方、地域戦略に適合した地域レベルの組織の形態や役割に関する研究は不足している。特に、地域統括会社(RHQ)に関する既存研究の多くはその類型や役割について記述してはいるが、役割の変化について議論した研究は少ない。そこで本稿は、日本自動車部品会社のアジアにおけるRHQ を対象にして継時的に事例分析を行った上で、進化論の視点で統括機能の変化プロセスを検討した。
事例分析を通じて、地域内子会社能力の構築や環境変化と共に地域統括機能が動態的に変化していくメカニズムを提示した。RHQ が果たしている機能は一定のものではなく、地域内子会社能力と地域環境によって変化した課題と相互に影響し合って、絶えずに変化していくことが明らかになった。さらに、この統括機能が動態的に変化するメカニズムによって、多国籍企業全体の成長に地域組織が与える影響の可能性を示した。