本稿では,言語的な「視点取り」(perspective-taking)の研究において重要な位置を占めてきた「空間参照枠」(spatial frame of reference)の特性を詳細にモデル化し,「空間描写」を従来の空間参照枠表現と空間描写モードに区別することにより,広く「視点化」(perspectivization)の類型に統括することを目的とする.さらに,ジェスチャーを含む近年の談話研究の知見にもとづき,心身(ことばと身体)を通じて表面化する「視点」を分析の射程に収めるための分類を提示し,談話/ジェスチャー研究における視点化の対照分析に向けた,エティックな基盤を提案する.