2003 年 23 巻 1 号 p. 55-64
本研究の目的は,看護に関わる情報,特に患者のケアに必要とされる情報を病院と訪問看護ステーションなどの間で電子的に交換するための通信規約に用いる項目集の開発,その項目集を用いて看護情報を電子的に交換するシステムの試験実装の2点である.
在宅看護において,ケアの継続性および生活の早期安定化には,患者情報の共有が重要である.それを実現するための一つの手段として,患者のケアに必要とされる情報の電子的交換が有効であると考える.そこで,我々は,看護情報を電子的に交換するために必要な項目を網羅的に採録し,各項目の粒度の統一と細分化を行い,941項目の看護サマリ交換データ項目セットを開発した.なお,標準交換項目集を実際のシステムで活用するには,それぞれの場面に応じた情報構造の定義が必要となる.そのため,既存の3病院の看護サマリを参照しながら試験用の情報構造を定義し,標準交換項目集を利用したシステムの実装試験を行った.