抄録
医療情報システムにおいて診療判断支援機能(CDSS; Clinical Decision Support System)を提供することは,医療の安全性の確保の観点から重要な課題であると考えられる.しかし,それをどのような方法で実際に稼働している医療情報システムにおいて実現するかという点については,多くが今後解決されるべき課題として残されている.我々はCDSSを実現する「ユニット」を,知識処理の仕組みを活用したソフトウエア部品として構築することを計画し,長期的な診療情報を蓄積するデータウエアハウス・システムに注目し,知識処理の技術を組み込んだデータウエアハウスの構築に着手した.本稿では,システム構築の目的と技術的な要素について報告を行う.