抄録
遠隔医療実験で収集されたデータを使用して,血圧に関する簡易な診断を行うためのBayesian Network (BN)の半自動的な学習を行った.その実験では各家庭に設置された各種家庭用医療電子機器により測定されたデータをインターネットで集積し遠隔医療に利用した.本研究では,クライアント側でユーザがそれら異種データを総合的に判断することをサポートするという目標のもと,3機器を選び気象情報を加えて情報を統合するモデルの構築を試みた.グラフ構造の学習には,1ヵ月ごとのメディアンを12ヵ月分使用して(39名),体重,歩数,気温,収縮期血圧からなるBNを得た.パラメータ推定は,8名の被験者を選び,個々人に対して行った.得られたBNを利用し,高血圧予防を念頭に置いて,最も個人に合った医療介入の方法を因果的に推論することを試みた.よく歩いて体重を落とした方がいいなど,人によって異なるアドバイスが得られた.