背景:臨床決断支援(CDS: Clinical Decision Support)システムがいくつかの領域で医療の質の改善に寄与すると報告されているが,推奨行為を提示する汎用的なCDSシステムの日本からの報告はない.
目的:電子カルテシステム(EMRS: Electronic Medical Record System)内に推奨行為が提示可能なCDSシステムを構築しその利用率を評価する.
概要:EMRS内外の情報を用いて個々の患者状態に応じた推奨行為を含む通知情報を作成し,EMRS内に決断を行うタイミングで動的に提示し,入力を支援する仕組みを構築した.
結果:2011年12月からの9ヵ月間に7領域で1,628件が通知され使用率は89.2%,診療行為を正しく支援できた割合は94.8%であった.
結論:既存電子カルテシステム内に推奨行為を提示する実行率の高い臨床決断支援システムを構築した.今後は本システムが医療の質の向上や利用者の行動変容に寄与するかを評価する必要がある.
抄録全体を表示