日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2003年度 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G7-03
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G7:火山及び火山岩
東北日本弧火山フロントに産する鮮新世火山岩類の岩石学的特徴の多様性
*安井 光大山元 正継伊藤 奈緒久枝 栄二山田 哲也永井 甲矢雄
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抄録
 本研究は東北日本弧の最も海溝側に位置する鮮新世火山岩類を対象とした.各地域の噴出物のMgOとK2Oについて第四紀脊梁TH で規格化(八幡平:吉田ら, 1983)した結果,MgOとK2O(顕著)に乏しいType-1,MgOに乏しくK2Oに富むType-2,MgOに富みK2Oに乏しいType-3(角閃石斑晶を含む),第四紀脊梁CA 岩と同様にMgOとK2Oに富むType-4に区分された.Type-1と3は本弧北部,Type-2と4は南部に産し第四紀火山岩と同様にK2O量の島弧縦断変化が認められる.この変化は鮮新世で著しい.またFeO*/MgOとSiO2の関係では,Type-1はFeO*/MgOの増加につれSiO2に富まない典型TH,Type-2はSiO2も増加するがType-1に近い変化経路を示す.Type-3と4の区分は不明瞭だが,少なくとも南部には系列や年代に関係なく肥沃的なマグマが産する.同位体でもType-1と3が枯渇的(87Sr/86Sr≦0.7046),Type-2と4が肥沃的(≧0.7050)である.Kersting et al. (1996) は第四紀火山岩の同位体の島弧縦断変化を地殻物質の混染によると考えたが,鮮新世では実際に高87Sr/86Sr物質の混染を示唆する系列岩が南部に産し,その玄武岩でさえ87Sr/86Sr=0.7052である. 全岩FeO*/MgO=2での両輝石の平衡温度 (Wells, 1977) は,Type-1で1050-1100℃,Type-2で1000-1050℃,Type-3と4で900-1000℃と概算される.ここで約2.5Ma以前にType-1と2,それ以降にType-3と4が出現することから,本弧のマグマは南北を問わず低温化していると考えられる.これは北部で顕著である.なおTH系列の変化経路は,Type-1が普通輝石(安井・山元, 2001),Type-2が紫蘇輝石(+斜長石),第四紀脊梁THが斜長石(Fujinawa, 1988;酒寄, 1991)主体の分別相の除去で説明できる.ゆえに各時代の噴出マグマの温度や由来深度が分別相の特徴に影響している可能性がある. また鉄チタン酸化物から酸素フュガシティー (Spencer and Lindsley, 1981) を求めた結果,その温度が約800℃の時に,Type-2で-14.5,Type-3で-12,Type-4で-13.5(log unit)と見積もられた.Type-3では例外的に高く第四紀青麻-恐CA岩のそれ(蟹沢ら, 1986;畠山, 1996MS)に類似する.この特徴は北部の異常な低温化に関与した可能性がある.その後の脊梁CA岩は南北を問わず脊梁THに比べてMgOとK2Oに富む(Masuda and Aoki, 1979).しかしその特徴は北部でK2O,南部でMgOに顕著で,後者は経年変化に乏しい.ゆえにCA岩の肥沃性は北部と南部で本質的に異なると考えられる.
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© 2003 日本鉱物科学会
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