日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2003年度 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: C-15
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C:岩石・鉱物・鉱床学一般
新しいFe-Ni-S系相図(500℃以上)より見たペントランド鉱の成因
*苣木 浅彦北風 嵐
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抄録
Fe-Ni-S系の新しい相図(500°C以上)によれば、870°Cで高温相ペントランド鉱(Fe4.94Ni4.06S8.00)が液相とmonosulfide固溶体 (SS)との擬ぺリテクチック反応で晶出する。この高温相は850°Cで限られたSSをつくり、この領域にFe4.5Ni4.5S8.0の組成も含まれる。このSSは降温につれて、その領域をNi-S境界に向って急激に広げ、806°Cでその境界上のβ2に達する。擬ぺリテクチック反応(870-806°C)後、降温と共に液相から金属に富む高温相ペントランド鉱SSが晶出し、さらに擬ユーテクチック反応(Fe=Ni 原子%の場合:746°C)で高温相SSとγ(Fe,Ni)との共晶を生じ、液相からの晶出を終了する(Fe=Niの場合)。Ni-S境界まで広がった高温相SSは700及び650°Cでもほぼその範囲を保持し、monosulfide SS、液相(739°Cまで)、β1SS及び(または)γと共存する。
 高温相ペントランド鉱(Fe=Ni,46.74原子%S)は615°Cでペントランド鉱(低温相)に転移するが、その温度はS含量の減少と共に584°C(Fe=Ni, 46.10原子%S)まで低下する。この転移は可逆的で、高温相は急冷してもクエンチできない。高温相(Fe=Ni, 46.74原子%S)はa=5.189(3)A(620°C)の単純立方格子を有し、一方低温相のペントランド鉱(上記と同一組成)はa=10.100(1)A(25°C)の面心立方格子Fm3mに属する。両相の関係は秩序-無秩序型転移と考えられる。高温相ペントランド鉱SSのFeに富む先端部は584°C(Fe=Ni)の擬ユーテクトイド反応で、ペントランド鉱とγとに分解する。この反応は降温につれて、継続的にFe先端部を消費(分解)しながら、Ni-S境界に向って後退させ、SS領域を縮小する。高温相ペントランド鉱は503°Cのユーテクトイド;Fe 6.47,Ni 50.00,S 43.53原子%で分解してペントランド鉱+高温相ゴドレフスキー鉱+三成分β1の混合物になり、相図より消える。高温相ペントランド鉱SSは615-503°Cでペントランド鉱SSと共存する。Ni-Cu鉱石に見られるペントランド鉱+ヒーズルウッド鉱組合せは498°Cで初めて現出する。三成分β1は484°C;Fe 5.07,Ni 55.94,S 38.99原子%のユーテクトイドで、ペントランド鉱+ヒーズルウッド鉱+γの混合物に分解する。
 地質学的現象でNi-Cu鉱床が生成される場合、高温相ペントランド鉱が870-739°Cの温度範囲で、液相(硫化物マグマ)とmonosulfide SSとの擬ぺリテクチック反応、これに引き続くリキダスに沿う液相からの直接沈殿、さらに擬ユーテクチック反応によって初生的に晶出し、これが冷却により低温相のペントランド鉱に転移したと、新しい相図より解釈される。 またペントランド鉱SSは600°C以下で、monosulfide SS、高温相ペントランド鉱SS及び三成分β1SSの離溶や分解よっても生成される。
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© 2003 日本鉱物科学会
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