日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2004年 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: G4 P-12
会議情報

G4:深成岩および変成岩
高温高圧条件下における一の目潟捕獲岩のS波速度測定
*西本 壮志石川 正弘有馬 眞吉田 武義
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
 東北日本では近年地震波探査技術の向上により詳細な3次元地震波トモグラフィーが明らかになっている (例えば,Zhao et al., 1992; Hasegawa et al., 1994; Nakajima et al., 2001).これらの地震学的データから東北本州弧地下は地震波速度分布が不均質であることが示唆されている.特に火山帯直下の低速度・低Vp/Vs比(上部地殻),低速度・高Vp/Vs比(下部地殻∼最上部マントル)の存在は東北本州弧における地震発生や火山形成に重要な関連があると考えられる(Hasegawa, 2003).Nakajima et al. (2001) ではこれらの低速度・低Vp/Vs比域,低速度・高Vp/Vs比域はそれぞれフルイド(主に水),部分溶融体であるとしており,部分溶融体からから抜けた水の移動が低周波地震を引き起こし,その水が上部地殻におけるS波反射面(ブライトスポット)を形成したと示唆した. これまで西本ほか(2004,合同大会)などでは一の目潟超塩基性捕獲岩のうち,角閃石(±輝石)はんれい岩,角閃石岩,角閃岩,スピネルレルゾライトのVp測定を,サブソリダス条件と考えられる温度∼700℃,圧力∼1.0 GPaの高温高圧条件下において行った.その結果をNakajima et al. (2001) の地震波速度分布構造と比較することによって,東北本州弧下部地殻のdVp = ∼3%の高速度領域は角閃石(±輝石)はんれい岩,dVp = ∼-3%の低速度領域は角閃石を多量に含む角閃岩や角閃石岩で構成される可能性を示唆した.しかしVpのデータのみを使い地下深部の不均質構造における詳細な岩石学的モデルの構築や,マグマやフルイドの分布を明らかにすることは非常に困難である. 従って地震波速度分布から東北本州弧地殻_から_最上部マントルの岩石・鉱物組成,様態,物性等を評価するためには同地域地下の温度圧力条件を考慮し,一の目潟捕獲岩のVpに加えVsを明らかにすることが非常に重要である.本研究では高温高圧条件下でのVs測定が可能なシステムを開発しVs測定を行った.本実験に用いたテスト試料は,丹沢角閃石はんれい岩である.実験に使用するサンプルは長さ6mm,直径6mmの円柱状コアであり,内径34mmのピストンシリンダー装置において,圧力0.6 GPa条件下で,温度を25℃∼600℃の範囲で変化させた. テスト試料で用いた角閃石はんれい岩のVsは0.6 GPa,25∼600℃条件下で測定された.その結果,Kern (1982) などで見られるような同様なほぼ直線的な速度低下がみられ,Vs = 3.78 - 3.67km/sであった.25 ℃と600 ℃時における速度差は約0.11 km/sとなり,dVs/dT = -0.0002となった.
著者関連情報
© 2004 日本鉱物科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top