抄録
目的:鼠径部腫瘤に対する超音波検査の意義を明らかにする.
対象と方法:対象は2010年6月から2012年5月の間に鼠径部腫瘤に対して超音波検査を実施した215人である.検査件数の経時的変化,超音波診断,触診による診断との比較,内・外・大腿ヘルニアの正診率について検討した.
結果:検査件数は検査導入から徐々に増加し,月平均17件となった.超音波診断は鼠径ヘルニアが84%と最多で,以下精索(Nuck管)水腫,リンパ節,子宮円索静脈瘤,異所性子宮内膜症などであった.13例(6%)において触診による診断が超音波検査により変更された.手術所見により確定診断が得られた153例において超音波診断との比較を行うと,鼠径ヘルニア分類の正診率は82%であった.
結論:鼠径部腫瘤に超音波検査を行うことは診断・治療に有用である.