抄録
当院での新生児聴覚スクリーニングの実施状況について統計的分析を行った.当院での要再検査(refer)率は2.12%と,全国データ0.31%と比較し有意に高値を示した(P < 0.05).しかし,新生児難聴のリスクファクターの有無によりハイリスク児群およびローリスク児群に分類し,それぞれのrefer率をみると,当院のrefer率と全国データでは有意な差は認められなかった.当院は大学病院という特性からハイリスク児の割合が高く,全体のrefer率は高値を示したものと考えられた.また,検査手技等による偽陽性のreferと思われる症例もあったことから,保護者の無用な不安や不必要な精密検査を減らすためにも,今後は検査精度を高める工夫が必要であると考えられた.