トルエンの代謝産物である尿中の馬尿酸(hippuric acid; HA)測定は,有機溶剤健康診断の中で最も対象者が多く,最低6ヶ月に1回の検査実施が義務化されている。現在,HA濃度はHPLC法によって測定されているため処理能力が低く,かつ特殊装置と技術が要求される。今回,HA測定の迅速性と簡便性を目的として,汎用生化学自動分析装置で測定できる酵素法試薬を考案した。本試薬をJCA-BM8040G(日本電子)装置で性能確認したところ,精確性,直線性,最小検出感度等の基礎性能およびHPLC法との相関性結果は良好,かつ類似構造のメチル馬尿酸の影響を受けないことから実用性の高い試薬と考える。