新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックにより,核酸増幅検査(NAAT)はSARS-CoV-2検査需要の増加と共に普及した。NAATはパンデミック以前より薬剤耐性(AMR)遺伝子の検出に用いられてきたが,一部の施設で実施される検査であった。我々はパンデミックにより一般化したNAATにおける遺伝子型の薬剤感受性試験(AST)への利用を調査し,現状と背景を調べた。調査は奈良県臨床検査技師会が主催する講習会への事前申し込み者を対象にオンラインで行い,GeneXpertとGENECUBE,FilmArray,そして他のNAAT機器での実施状況を質問した。その結果,NAAT保有回答者の59%が遺伝子型ASTを行っていた。GeneXpertとFilmArrayはパンデミックによる導入が多かった(62.5%, 82.6%)。導入の経緯は「検出の迅速化(56.0%)」と「ICT関連(52.4%)」が半数以上を占めた。運用面では「診療貢献度が高い(74.1%)」が最も高い割合を示した。未実施の回答では「予定はないが行いたい(38.1%)」と「診療からの要望次第(33.3%)」が多く,導入していない理由として「業務負担を増やせない(52.9%)」が最も多かった。これはパンデミックによる労働環境の変化や日本社会の特徴が影響していると考える。今後,遺伝子型ASTの普及には,国内施設からの有用性の報告や業務の改善,効率化などの働き方へのアプローチが必要と考えられた。