2026 年 75 巻 3 号 p. 503-512
医療現場における機械学習モデルの普及を阻むデータセット依存性や個別最適の壁を克服するため,単一施設で開発した予測アルゴリズムを追加学習により他施設へ展開する手法の有効性を検証した。A病院のリアルワールドデータを用い,XGBoostによる「日次採血患者数」「時間帯別受付数」「待ち人数・時間」の3種類の基盤モデルを構築した。次に,このモデルをB病院のデータで追加学習し,その精度を検証した。評価には2025年の遡及的データと,2025年11月の前向きデータを用いた。A病院のモデルは高い予測精度を示したが,B病院に直接適用すると精度は著しく低下した(日次予測R2 = −14.074)。一方,B病院データで追加学習を行ったモデルは劇的に改善し,遡及的検証において時間帯別受付数でR2 = 0.963,待ち人数でR2 = 0.892を達成した。前向き検証でも高い精度が維持され,特に待ち人数予測ではR2 = 0.884と実用的なロバスト性が確認された。基盤モデルの共有と追加学習による適応は,施設ごとの運用差を効率的に吸収し,高精度な予測モデルを他施設へ展開するための実践的なフレームワークとなる。