【はじめに】硝子円柱は早期の慢性腎臓病や心腎連関を反映する指標とされるが,日常検査において,尿比重が高い検体で硝子円柱を認めても推定糸球体ろ過量(eGFR)が低下していない症例にしばしば遭遇する。本研究では,尿比重別の硝子円柱出現とeGFRおよび心臓マーカーである脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N末端フラグメント(NT-proBNP)の関係を探索的に検討した。【対象と方法】2022年6月~9月に当院で尿沈渣検査とeGFR測定を行った864検体を対象とした。尿比重1.020を境界とし,硝子円柱出現の有無を組み合わせた4群(①比重低・円柱無,②比重高・円柱無,③比重低・円柱有,④比重高・円柱有)に分類しeGFRおよびNT-proBNP値を比較検討した。【結果】硝子円柱出現群において,尿比重が高い群ほどeGFRは高値を示す傾向があった。4群比較では,③群(比重低・円柱有)のeGFRが他群に比し有意に低値であったが(p < 0.001),④群(比重高・円柱有)は硝子円柱を認めない群と有意差がなかった。一方,NT-proBNPは④群で最も平均値が高く,①群との間に有意差を認めた(p = 0.040)。【結語】尿比重が低値での硝子円柱出現は腎機能低下を強く示唆するが,高比重尿での出現は腎機能低下よりも心負荷を反映している可能性が示唆された。両指標を組み合わせて判断することは,心腎連関の病態把握において有用な指標となることが期待される。