2009 年 13 巻 2 号 p. 13-20
本研究の目的は,病棟の管理者である看護師長が捉えている急性期病院の退院支援の実際を明らかにすることである.対象は,東北地方A県内の300床以上の看護配置基準10対1以上の急性期病院に勤務し,調査に同意の得られた看護師長10名である.半構造化面接を実施し,質的帰納的に分析した.抽出された12のカテゴリーから急性期病院の退院支援の実態が構造化され,以下のような特性が明らかとなった.
急性期病院における退院支援は【ベッドコントロール】を念頭に置きながら,入院と同時に【退院を目指す】と【患者・家族の意志決定を促す】を目標に,【関係者と協働する】を基盤にして,【退院支援の必要性を見極める】【帰れるタイミングをはずさない】【リスクを考える】を繰り返しながら実践していた.また,看護師長は,関係者に【頼られる】存在として,【退院支援の成果】をフィードバックしながら,【退院支援システムの不足】【スタッフにおろせない】【スタッフの教育を考える】などを運営上の課題としていた.